定期的にスタッフ全員が集まり
ミーティングを開いている医院さんのスタッフ
「話すのは院長ばかり。
スタッフは聞いているだけ。」

とボヤくのを聞いたことがあります。

また、以前はミーティングをしていたものの
意味を見出せず、
いつの間にか止めてしまっている
という医院もあります。

結論からいうと、
定期ミーティングは行った方がいいです。
定期ミーティングには定期ミーティングの
意味がきちんとあるからです。

今回は、
定期ミーティングを意味あるものにするために
何ができるのか
を考えていきます。

ミーティングの必須条件

歯科医院のミーティングの必須条件として
全員が揃っている
ということが挙げられます。
これは、
意味あるミーティングを行うための必須条件です。

例えば、パートやアルバイトは参加しなくてもいい
という医院もあります。
しかし、定期ミーティングには是非、
参加してもらった方がいいです。
定期ミーティングは、
チームの一員であることを確認するための行為
だからです。

「パートだからミーティングになんて
参加する資格がない・・・」

「日頃、子どもの行事や病気ことで
勤務上迷惑をかけているのに・・・、
決まった事には従いますから。」

こんな風に遠慮しているスタッフ
いるかもしれませんが、
チームの一員なんだから、と促してみてください。
喜んでくれるはずです。

「1:5」に格差が潜んでいる

歯科医院スタッフの構成員を改めて見てみます。
すると、感覚としてですが、
(院長+代診+幹部スタッフ):1
(その他のスタッフ):5
このぐらいの割合になっているのでは
ないでしょうか。

院長はじめ歯科医師や幹部スタッフは、
「自分だったらどうするか」と、
主体的に自分事として
物事を考えることができる人たちです。

一方で、その他スタッフが従事する
アシスタント業務の多くは、
自分の意思が業務に反映されることは
あまりありません。

立場が上の人物からの指揮命令を受け、
それに従って動くことを求められるからです。
自分の意志を持ちながら業務を行える人もいる
一方で、残念ながら
指示待ちに終始してしまう人の方が多いのも
事実です。

このように、1:5の1と5の間には
格差が生じており、
この格差を放置して行われるミーティングが、
「話すのは院長ばかりミーティング」
につながるのではないでしょうか?
そこで、その格差を埋めるために、
院長や幹部スタッフの出番となります。

ファシリテーション

ご存知のように、指示待ちに見えるスタッフとて、
何も考えが無いわけではありません。
ひとりひとりに聞けば、
それなりにしっかりと意見や考えを
話してくれるものです。

ここで、院長や幹部スタッフが行うべきなのは
ファシリテーションです。
歯科医院のミーティングでの
ファシリテーションの目的は2つあります。

  1. スタッフの発言を促す
  2. 場に出た意見が具体的に
    イメージできるように促す

※ファシリテーション:facilitation(促進)

ファシリテーションの役割についた人は、
自らは意見を述べません。

目的1.スタッフの発言を促す

まずスタッフの発言を促すために
「ルール作り」をします。例えば、

ア. 他の意見を否定しない

イ. 具体的な理由や根拠を述べる

ウ. 言い出しっぺに実行責任を持たせない

などがいいでしょう。

例えば『ウ』なら、
○○という案をAさんが発案して通った時に
「言い出しっぺなんだからAさんがやってね」
というのを止めよう、というルールです。

この言い出しっぺルールがあることで、
「言ったらやらなきゃならないかも…」
と思うのでひるんでしまう…
といったような恐れが無くなり、
アイデアがどんどん出されるようになります。

スタッフの発言を促すためのルールであれば、
どんなものでも構いません。

目的2.場に出た意見が具体的にイメージできるように促す

次の目的達成のために必要なのは
「具体的な情報を引き出すこと」です。

「なぜそう思ったのか」
「どのようなものだったのか」など、
具体的なイメージが描けるよう
問いかける
ことです。

例えば、夏祭りをしよう、という意見に
Aさんが反対したとします。
そこへ
「なぜ反対だと思ったのですか?」
と問いかけて、Aさんが、
「嫌だからです」と言ったとします。

ファシリテーションというのは、
たとえ感情的に「嫌だからです」
と言われたとしても、
「どういうところが嫌ですか?」
と具体化することです。
あいまいで感情的な物事を
明確・論理的
にします。

具体化の過程で責めているような気分に
なるかもしれませんが、
励ます気持ちでいる限りは
場が崩壊することはありません。
スタッフ各々の思いを言語化して共有することが、
本当の問題点を抽出することに繋がっていく
ので、
必須の過程です。

定期ミーティングはした方が絶対にいい

朝礼・終礼でも同じ効果が得られそう
感じはしますが、実はそうでもないのです。

朝なら診療開始時間後の段取り、
夜なら帰宅後のことで
頭がいっぱいになっている
ことが多いためです。

そうなると、定期ミーティングは、
医院の将来だけを考えることができる
唯一の機会である
ということが言えると思います。
月に1回行うだけでも違ってきますので
まずはそこから始めてみてください。