最近、審美性を重視した審美治療が推奨され、
金銀パラジウム合金をはじめとした
金属素材の問題点を提起する記事を
よく見かけます。

確かに、患者さんの美に対する要求は
どんどん高まっています。
銀歯よりもセラミックの方が素材としても、
体に対しても優秀だとは思います。
それ自体は良いことだとは思うのですが、
予防に対する意識付けが根本的に大事
だとも思います。
あなたはどう思いますか?

患者さんが最も大切にしなければいけないのは、
予防の大切さをしっかりと認識すること
であり、
歯科医療従事者がもっと警鐘を鳴らすべきでは
ないでしょうか。

世の中の情報の中心は、セラミックを中心とした審美治療・・・?

実際、歯科医院で金属に対するデメリットを
どれくらい説明されているかわかりませんが、
少なくともネットでは、
銀歯のリスクとセラミック治療の良さを
頻繁に目にすることが多く、
その記事を見た患者さんは
「銀歯はダメ、セラミックはすばらしい!」
と思うことでしょう。

しかし、優れた素材を使った補綴物であっても、
補綴物を入れること自体がデメリットであり、
様々なリスクを背負うことになるのは事実です。

つまり
「銀歯はダメでセラミックは良い」
という説明だけでなく、
「銀歯であってもセラミックであっても、
歯を削ることは同じ。」

「治療が一旦終わってからの日々のケア
が何より重要。」

ということを解ってもらうことが必要ですよね。
果たして患者さんは、このことをきちんと理解し、
行動に移してくれるでしょうか?

先日、受付で、
初老の患者さんの会計を行っているとき
「入れ歯になるまでは歯のことなんか
考えたこともなかった。入れ歯になって、
はじめて歯の大切さに気が付いた」

とお話しされていました。

これは、歯を失ったり何度も再治療を繰り返す人の
思いを集約した言葉だと思います。

患者さんにどうやって予防の意識を持ってもらうのか

デンタルIQが高い人は、
こちらから何も啓発しなくても
予防治療に通ってくれます。
また、普段の口腔内ケアに関しても非常に熱心で、
こちらが勧めなくてもフロスなどを毎回購入し、
自身の口腔ケアに努めているものです。

しかし、予防意識を常に持ち、
自ら積極的に予防治療へ通う患者さんは
海外に比べると比較にならないくらい低く、
残念ながら日本はまだ治療優先型
言われています。

私たち歯科医療従事者がすべきことは、
悪くなった歯の機能をどうやって回復させるか、
そして、今の状態になった原因をどうやって
患者さんに理解してもらうかです。

いくら良い治療を受けても、
日々の歯のお手入れが悪いと
また病気が再発してしまうこと、
歯の寿命を長く持たせるには何が必要なのかを
患者さんに説明することによって、
患者さん自身に
「予防をしっかりと行うことによって
自分自身が幸せになれる」
と認識してもらうことが何より重要
です。

最初が肝心

多くの患者さんは、
まず治療のために歯科医院を訪れます。

そこでまず、
なぜ今のような現状になってしまったのかを
患者さんに認識させる
ことが効果的です。
キツイ言い方ではなく、
あくまでも患者さんが自ら考え、
こんな思いはもうしたくないなと思うような
言い回しで話をするのがよいでしょう。

そのためには最初のスケーリングが
勝負どころ
となります。
歯科衛生士は、自分の技量と知識を最大限に活かし
患者さんのケアをしてください。

少々大げさなくらいの声かけを行いながら、
使っているペーストは何に効果があるか、
また歯間ブラシはこのサイズがよいなど、
患者さんにわかりやすく説明しながら、
目の前の患者さんに集中しましょう。

また、スタッフ全員が、
患者さんとコミュニケーションを取り、
患者さんに予防治療の意識を落とし込むことも
効果的です。
院内に販売されている
歯磨き剤やフロスなどを積極的に紹介し、
患者さんを誘導するようにしてみては
どうでしょうか。

まとめ

治療内容のメリットデメリットも
もちろん大事です。

でもそれだけでは、
予防治療に通ってくれる患者さんは
あまり増えてこないでしょう。

まずは予防治療の大切さを理解してもらうよう、
スタッフ全員で患者さんに意識を向けるように
してみましょう。

繰り返し、繰り返し、違う切り口で、
「予防がいかに大切か?」を伝え続けて、
患者さんとコミュニケーションを
取ってみてください。