治療を開始する前には、
「どのような流れで治療を進めていくか」
の説明が欠かせませんよね。

患者さんが計画を十分に理解できていないまま
の状態は、トラブルや患者離れの原因
となってしまうこともあります。

今回は「治療費用の説明」にスポットをあてて、
話し方のポイントや患者さん目線での
感じ方などを解説していきます。

治療費用に対する患者さんのリアルな声

歯科治療の費用について、
患者さんからはネガティブな意見が
比較的多く聞かれます。

・3000円くらいだと思ったら、
5000円以上の請求で
手持ちのお金がギリギリだった
・毎回、いくらくらい持っていけば足りるのか
分からず会計までドキドキする
・保険適用の治療を選んだはずなのに、
最終的に思ったよりも高くなることが多い
・「いくらかかりますか?」と聞くのは
恥ずかしいから聞けない
・「高いな」と思っても、治療後なので
何も言えず払うしかないのが嫌だ

「保険適用は自己負担額が少ないから、
詳細の金額を前もって説明しなくてもいいだろう」

このように感じているのは、
医療従事者側だけであることを
認識しなくてはなりません。

保険適用の有無に関わらず
「請求される金額が分からないまま
治療を受けること」に対して
多くの患者さんが不安に思っています。

この点を踏まえて、
患者さんの気持ちに寄り添った対応を
していきましょう。

治療を始める前に確認するべき3つのポイント

治療費用に関する説明で重要となるポイントは
“3つ”あります。

①治療を開始しようとしている箇所にかかる
トータルの費用目安
②被せ物など保険適用か否かを
選んでもらう場合には
具体的な費用の違いにもふれる
③レントゲンなど費用負担が大きくなる
点数の高い処置は予め話をしておく

これらを必要に応じて説明し、
患者さんが理解・納得したことを確認してから
治療をスタートさせることを心がけましょう。

①や②はもちろんの事、
③はうっかり忘れてしまいがちな
ポイントです。

一旦口腔内を確認した後、
レントゲンによる画像診断が必要な場合には
「虫歯の深さや神経までの距離などを
確認しなければならないので、
レントゲンを撮ります。
部分的な撮影となるので、
300円程度かかりますがよろしいですか?」

「お口の中の状態を全体的に
確認させていただきたいので、
レントゲンを撮らせていただきます。
費用が1200円ほどかかりますが、
検査を続けてもよろしいですか?」

と声をかけてあげると親切です。

患者さんによっては、
治療を開始しないという選択をとる方もいます。

または、
「治療してないのに、
なんでこんなにお金がかかるんだ」と
トラブルになるケースも多々聞かれます。

治療前の検査であっても、
費用が発生することを予め伝えておくのは
重要なことです。

ちょっとした配慮で他院と差をつけよう

きちんと説明していても、
「聞いてない」「思っていたのと違う」等で
トラブルが起こるケースが多々聞かれます。

トラブル防止や患者さんに
より正しく理解してもらうため、
治療を開始した方に向けて会計時に
「費用に関する案内」を渡すのがおすすめ。

・治療項目ごとの費用目安
(例:レントゲン 約〇円、型取り 約〇円)
・トータルでの費用目安
・次回の費用目安

数分で作成できるよう、
手書きできるスペースを設けた
「治療項目ごとの費用リーフレット」を
作ります。

その上で、
手書きスペースに現在治療している場所の
トータルでの費用目安を
書いてあげると分かりやすいでしょう。

お渡しする際には、
「診察中にも説明があったかと思いますが、
こちら費用に関するリーフレットです。
次回の治療は○○を予定しておりますので、
費用の目安は○○円ほどです。」と
案内してあげると、
患者さんの安心に繋がるでしょう。

ここで注意したいのは
「再診料」や「長期管理加算」といった項目です。

注意書きとして
・別途、再診料や必要に応じた
諸加算がありますので、
治療項目ごとの費用目安+500円~1000円程度
かかります。
・処置、検査以外にも、
必要に応じた診療点数加算があります。
次回の費用目安については、
お気軽に受付スタッフにお尋ねください。

といった内容を添えておくと
誤解を生むリスクが軽減されます。

また、再診料などを加味した上での値段を
予めリーフレットに載せておく
という方法もあります。

いずれにしても、
「お金」はトラブルの種となりやすいため
リスクヘッジは欠かせません。

リーフレットの作成時はもちろん、
案内時にも言葉を選んで
誤解のないよう正しく理解してもらうことを
意識しましょう。