予防歯科を方針とする歯科医院にとってありがちなのは、
予防歯科という医院の方針をなかなか患者に理解してもらえずに
患者が治療途中で通院をやめてしまうという悩みや、
メインテナンス来院が増えないという悩みです。
そんな歯科医院の問題を大きく改善してくれるのが初診時のカウンセリングです。
さて、あなたの歯科医院では、初診時のカウンセリングに
時間をかけることができていますか?
初診カウンセリングについては、歯科医院ではついその方法やスキルやツールなどの
テクニカル面が気になりがちです。
しかしそれ以上に大事なのは、まず、心構えです。
患者が通院を続けるか否かは初診カウンセリングで8割決まる
残念なことに、日本では予防のために歯科に通うという考え方は
まだメジャーになっているとはいえず、
「歯医者は痛くなってから行くもの」と思っている患者が多いのが現状です。
そんな患者に対して、ゆっくりと話す時間を取らずに簡単に問診だけ行って
初診を済ませるようでは、
- 「ここの歯医者は検査ばかりしてなかなか治療を進めてくれない」
- 「痛くなくなったからもう大丈夫だろう」
といった理由で、治療途中で離脱していく患者が生まれてしまいます。
もしくは治療終了までは何とか通院を続けても、
メインテナンス来院につながらないという現象が起こります。
ですがそれは患者が悪いのではありません。
予防歯科について正しい知識を知らないのですから当然です。
少し厳しい言い方ですが、問題があるのは正しい知識・情報を
患者に伝えきれていない医院側です。
初診時にカウンセリングを行うことで患者の話を正しく聴き、
こちらの言いたいことを話し、
それがきちんと伝わった時、患者のそれまでの考えはガラリと一変します。
そして
「ここは今まで行っていた歯医者と違う!」
「ここなら私の悩みを何とかしてくれそう!」
というモチベーションにつながり、継続して通院する患者数が飛躍的に増えるのです。
まずは聴け!患者が聴く耳を持つのは自分のことを全て話してから
最初のカウンセリングでは確かに歯科医院の治療方針など
こちらの思いを伝えることももちろん大事です。
前述した通り、予防という歯科医院の方針を初診時のカウンセリングで
確実に伝えることができているかどうかで
その後の患者の通院にかけるモチベーションが決まるといっても過言ではありません。
しかし、それには順番があります。
初めての歯科に訪れる患者は、それぞれ必ず“何か言いたいこと”を抱えています。
それは主訴がどれほど辛いのかということであったり、
治療に対する希望であったりするでしょう。
前に通った歯科医院に対する不満かもしれません。
それを聞かずして一生懸命「お口の病気には実は治療よりも予防が大事で…」と話したところで、
患者は聴く耳を持ってくれません。
まずは患者の話したいことに意識を集中し、
とことん患者の話を聴きましょう。
質問を繰り返して本音を引き出し、
それがどんな内容でも否定せずに受け入れて時には共感し、
徹底的に話を聴くのです。
自分の言いたいことを全て言いきってはじめて、
患者はこちらの話を聴く準備ができるのです。
こちらの方針を話すのはそれからです。
患者が治してほしいのは、主訴そのものよりも“心”
初めて訪れる歯科医院。患者はどんな気持ちで来院しているでしょうか?
- ここはどんな歯医者かな?
- 痛みはとれるかな?
- 先生は優しいかな?
- 治療は上手かな?
その胸の内は不安でいっぱいです。
たとえば初診時の治療でいくら主訴の痛みがとれたとしても、
心理面で何らかの不安要素が残っていれば患者は治った気持ちにはなりません。
ところが最初のカウンセリングで主訴やそれに伴う困りごと、
歯科医院に望むことや苦手なこと、患者の気持ちを全て聴き出した時、
患者の胸のつかえが取れて“心”が治ります。
不思議なことに全く治療を施していないにもかかわらず、
カウンセリングだけで患者は“なんだか治ったような気持ち”になります。
そして初診の診察が終わった頃、
その内容が基本的な検査と応急処置のみで本格的な治療をしていなくても、
患者は来院された時とは全く違う明るい表情で診察室から出てくるのです。
初診カウンセリングをせずに初診時に主訴の悩みを10割解決するのと、
カウンセリングを行った上で5割解決するのでは、
実は後者の方が患者の通院のモチベーションは高まります。
もちろん10割解決してあげるとそれはそれで患者は嬉しいのですが、
それだけでは次回の来院にはつながりにくいでしょう。
オーラルヘルスケアチーム 歯科TC Nより