初診カウンセリングを効果的に機能させるためには、
下準備もいろいろと必要になってきます。
カウンセリングはどこで、どれくらいの時間を使ってどのようにするのか…
心掛けておきたい6つのポイントについてお話しします。
是非準備して取り組んで下さい。

1.シナリオ作りをし、毎回同じセリフを使うこと(最重要!!)

カウンセリングをする時の知識として知っていただきたいのは、
毎回同じセリフを使って患者と話すということです。

ですから、初診カウンセリングを行う前に、
あらかじめ自分のシナリオを作っておくことを
強くおすすめします。

もちろん患者が話す内容によって、
カウンセリングの内容は変わってきます。

しかしその一方で、初診時のカウンセリングは
確認したい項目が固定されています。
それを患者に質問していく時には、
毎回同じ言い回しをするようにしてください。

マニュアル化しては臨機応変に対応できないのではと
思われる方もいらっしゃるかもしれません。
でも、初診カウンセリングは1人の患者に1度だけ。

毎回同じセリフを使うことで、
自分のどの言葉に患者が反応しているかを
見極めることができます。

この言い回しにはほとんどの患者が共感してくれる、とか、
このセリフは分かりにくいみたいだ、などという情報を
集めることができます。

毎回違うセリフを使っていては、自分の言葉に対する
患者のリアクションが固定されません。

そして、診療方針の説明をする時にも
あらかじめ決めておいたことを使うようにしていれば、
後から振り返った時に「あの患者さんにこの説明したっけ?」と
記憶があいまいになってしまうのを防ぐこともできるのです。

シナリオを作った後は、是非他のスタッフにも見せて
チェックしてもらいましょう。

さらにそれを使ってロールプレイングができれば理想的です。
基本のたたき台が身につけば、応用もきくようになってきます。

2.名刺でアピール

初診カウンセリングは自己紹介をすることから始まります。

その時にはできれば名刺を渡すようにしましょう。
他のことに気が散っていることも多い初対面の患者に
口頭だけで名前を覚えてもらうのは困難です。

初診カウンセリングで
「これから何かあればカウンセリング担当者に言えばいいんだ」
ということが伝われば、名刺は大事に持ち帰ってもらえます。

実際にその名刺を見て電話やメールで患者から問い合わせを
受けることもあるでしょう。

何か疑問に思うことがあった時に、誰に聞いていいか
分からない状態は患者にとって優しいとはいえません。

患者の声をひろう窓口がカウンセリング担当者に絞れていれば、
患者も気兼ねなく希望を伝えることができます。
名刺はそれをアピールするツールです。

歯科医師以外の名刺をつくらない医院も多いと思いますが、
カウンセリング担当者の名刺は必要であると認識してください。

3.ツールの準備はOK?~カウンセリングシート

カウンセリングは患者の話を聴きながら、
それを正しくドクターや歯科衛生士に伝えるために
メモを取ることが必要になります。

このメモは、患者のカルテと一緒に保管できるものがいいでしょう。

私の場合、
「カウンセリングシート」という初診カウンセリング用の
オリジナルフォーマットを作っていました。

  • 主訴や治療に対する希望などの質問項目
  • 説明しておきたいことを説明できたかどうかのチェック項目
  • 初診時に唾液検査などの保険外の検査を希望するかのチェック項目

などに書き込んで、誰が見ても分かるようにしていました。

また、それとは別に既往歴や服用薬といった全身の健康状態を
記入する用紙も準備していました。

そのカウンセリングシートは
机の上など患者に見えるところで書いてしまうと、
患者の注意がそちらに向かってしまいます。

バインダーに挟んで自分だけに見える位置で記入しましょう。

PCを使って記録する場合は、
画面が不用意に患者に見えないようにすること、
こちらがPC画面に集中してしまって
患者の表情や仕草を見逃さないことに
充分気を付けてください。

4.基本の時間設定は20~30分

初診カウンセリングは基本的に20分~30分を目安にしましょう。

もちろん話を伺うのはとても大事ですが、
それ以上長引けば口腔内の診査も含めた時の拘束時間が
長すぎてしまい、患者が疲れてしまいます。

私の経験上、話したいことが沢山ある患者でも30分あれば充分です。
質問の仕方や深めていくべき話と切り上げるべき話の判断の仕方が
うまくなってくれば、時間もコントロールできるようになってきます。

時間内におさめるのもカウンセリング担当者の力量です

ただし、まれにとことん話を聴く必要がある場合が出てくることもあります。
そんな時はいくら丁寧に口腔内を診ても患者はこちらの話に集中してくれません。
他の予約との兼ね合いを考えて状況が許せばカウンセリング時間を延長させます。

また、カウンセリングの途中で制限時間がきてしまった場合は問診を優先させます。

口腔内を診るのに必要なことを優先的に聴き、
診療方針などの説明はドクターや衛生士に頼みましょう。

5.カウンセリングルーム=個室があるのが理想的

ここまで紹介してきた内容で想像がつくかもしれませんが、
初診カウンセリングはできれば個室で行うのが理想です。

周りの音が気になったり
自分の話が他の患者に聞こえる心配がある状態では、
患者もなかなかリラックスすることができません。

とはいっても、個室が無い医院も多いでしょう。
そんな時は、出来るだけ患者目線にたって、
気が散らないような配慮をすれば大丈夫です。

パーテーションで視線をさえぎるとか、
出来るだけ人の導線にない場所を選ぶとか、
できるだけ患者に配慮した環境を作りたいものです。

6.説明用の資料

その他カウンセリング時に使うパワーポイントや、
患者に渡す診療方針説明用のレジュメなど、
医院によって必要なものが細々と出てくることと思います。

それらのツールは院長やカウンセリング担当者が
ひとりで準備するのではなく、
是非多くのスタッフで話し合って作成してみてください。

医院の実態に即した
最適なオリジナルのものが出来上がりますし、
何よりスタッフそれぞれが日常感じている意見を
交換する貴重な場になります。

ツールを準備するという手段によって
医院内のコミュニケーションが活発になれば、
こんなに良いことはありませんね。

オーラルヘルスケアチーム 歯科TC Nより