「メンテナンスはPMTCだけすればいい」
と思っていませんか?
実を言うと
私も衛生士として患者さんを診ているとき
「メンテナンス=PMTC」と
思っていた時期もありました。
でも、
患者さん一人ひとりとしっかりと向き合い、
バックグラウンドなどを知っていく内に
「メンテナンス=PMTCではない!」と
気づくことができたのです。
気づいたことによって、その後、
「患者さんに寄り添えるメンテナンスが
できるようになったのではないか」と
思っています。
私の変わるきっかけは
口腔内以外にも注目したメンテナンス術を
知ったことでした。
そこで、今回はメンテナンスの時に
口腔内以外に見るべきポイントをお話ししますね。
メンテナンス時 口腔内以外に見るべきポイント
具体的には
- 全身の問題
- 口腔内外の問題
- 生活環境の問題
- まとめ
の内容になります。
- メンテナンスで
口腔内以外のどこを見ればいいのかわからない - PMTCだけのメンテナンスから抜け出したい
と思っている方にオススメの内容になっています。
読み終わったときには
メンテナンスの見方や考え方が
少しでも変わっていると嬉しいです。
それでは、最初のポイントを見てみましょう。
全身の問題
最初に見るところは、
患者さんの全身です。
メンテナンスだから口腔内じゃないの?と
思いますよね。
でも、
身体を知ることが口腔内を知ることになります。
全身で見る時のポイントは
- 高血圧
- 環器疾患
- 糖尿病
- 骨粗しょう症
- 認知症、悪性腫瘍
などの全身疾患になります。
例えば、
患者さんが糖尿病だと知ることで
糖尿病の方に特有の口腔内の特徴がわかるため
ブラッシング指導やメンテナンスのヒントに
なるからです。
糖尿病の口腔内の特徴は
- 口が渇きやすい
- 口の中が常に粘つきがある
- 歯肉の滲出液や唾液が甘くなる
という特徴を持っている方が多いので
- 洗口剤を使用しているのか
- 根面カリエスを見逃していないか
を意識しながらメンテナンスや
ブラッシング指導を行うことができますね。
口腔内外の問題
口腔内以外とは言ったものの
やはり歯についても欠かせない部分があるので、
口腔内の見るべき箇所についても
少し触れておきますね。
まず、口腔内は
歯と粘膜に分けて見ていくのが
ポイントになってきます。
口腔内を見る時のポイントは
【残存している歯】
- う蝕、歯列、歯の形態、残存歯数
- 補綴装置の種類状態
- 咬合、咬耗、摩耗、破折、歯根破折
【周囲粘膜組織】
- 歯周組織疾患
になります。
口腔内で見落としやすいのは
歯の形態です。
歯の形態は、
患者さんによって千差万別ありますが
基本的な形態は頭の中に入れておきましょう。
例えば、上顎側切歯の口蓋側には
斜切痕が約40%の確率であり、
斜切痕があると
歯周ポケットの形成を促す要因に
なってしまいます。
そのため、側切歯の口蓋側は
丁寧にプロービングする必要があるのです。
もう一つ、口腔内で見落としやすいのは
補綴処置を行っている歯の対合歯になります。
補綴処置した歯の対合歯は
補綴を入れる前とは
何も変わっていないでしょうか?
特に対合歯が天然歯の場合は
- 特に強く咬合していないか
- 歯肉退縮や動揺がないか
のところは衛生士も見ておきましょう。
次に、口腔外で見る時のポイントは
- 顎関節症
- 咀嚼筋
になります。
例えば、
患者さんが「顎が痛い」と訴えたときは
まず、顎のどこが痛いのかを聞き出す
ことが必要です。
痛みの原因となる部位は顎関節や耳、下顎角、
頰骨付近と様々あるためです。
そして、メンテナンスの時には口を開閉するときの
顎の動きや音に注目してみて下さい。
カクカクとした音がする場合は
患者さんの生活習慣を聞いて見ましょう。
顎関節は、生活習慣やストレス、加齢現象に
影響を受けやすいからです。
生活環境の問題
患者さんに限らず皆さんにも
必ず生活環境があります。
生活環境とは大きく分けて
- バックグラウンド
- ライフステージ
の2つがあり、これらを知る事で
患者さんとのコミュニケーションを図ることができ、
メンテナンスを円滑に進めることができます。
例えば、女性のライフステージでは
結婚、出産、子育てなどの
ターニングポイントがあり
その時のステージにあった問題解決を
提案することが大事です。
子育てに追われ、
家事や仕事もしている女性に
「毎日3回10分歯磨きをして、
フロスも同じ頻度でやって下さい。」
なんて言ってしまうと
「私の今の状況でそこまでは…」
と口にはださないかも知れませんが
思っているかもしれませんよね。
食事をした後に歯を磨いた方が良いことは
患者さんもわかっています。
でも、できない時もあるのです。
患者さんの現在のライフステージでは
- 重点をどこに置いているのか
- どんな悩みがでてきているのか
を考えて、解決に繋がる提案をしてみましょう。
まとめ
今回は口腔内だけではない
全身でのメンテナンスの見方について
お話しました。
メンテナンス時に
PMTC以外にも見るべきところや
やるべきことがあることを
わかって頂けたら幸いです。
もちろんPMTCは大事ですよ。
でも、PMTCばかりに目を向けていては
患者さんの本当の「主訴」を
見逃しているかもしれません。
患者さんのバックグラウンドから
全身を知っていくと
もっと深いメンテナンスができるようになり
歯科衛生士として、
とても魅力的になりますよ。