「患者さんのため」
と思い提案していることを
受け入れてもらえない時がありますよね。
でも、その提案は
あなたの一方的なコミュニケーションに
なっていませんか?

患者さんに補綴の説明をしている時に
「いいよ、保険で。」
と話している途中で言葉を遮られたり
ブラッシング指導では
「うん。わかった。やるから。」
と言いながらブラッシングをしない

患者さんがいますよね。

あなたは
「伝えたかったことがあるのに
全然伝えることができなかった。」

と悲しく思いますよね。

伝えたいことを伝えきれなかったのは
患者さんとあなたの間に
「信頼関係が成り立っていない」
からです。

そんな
患者さんとの信頼関係の築き方
衛生士からの観点で解決していきます。

患者さんとの信頼関係の築き方

信頼関係を築くにあたってのキーワードが
『ラポール』です。
今回の記事では、このラポールについて、
次の順にポイントを絞って説明しますね。

  • ラポールとは
  • ラポールがなぜ重要なのか
  • ラポールを形成する前の考え方
  • ラポールの形成するために必要な3つのスキル

ちなみにこのラポールの形成は
患者さんとだけではなく
スタッフと良好な関係を築くにも有効です。

スタッフとの関係にお悩みの方も
ぜひ一読して見て下さい。

ラポールとは信頼関係

ラポールという言葉を聞いたことが
あるでしょうか?

ラポールとは
相手と親密な信頼関係であることです。
他にも、好感や安心感という意味もあって
心理学用語として使われています。

フランス語で「架け橋」を意味する言葉で
人と人との架け橋ができていないと
良好な関係は築けないことを表しています。
その架け橋になるのがラポールです。

ラポールが築けていないと
どんなに正論であっても
相手は受け止めてくれません。

あなたのエゴになってしまいます。

しかし、ラポールが築けている
「あなたが言っているからやってみようかな。」
「あなたが言うなら間違いなさそうね。」と
180度相手の受け取り方が違ってくるのです。

ラポールがなぜ重要なのか?

ラポールについてわかってきたら
次はラポールの重要性について
解説していきます。

人間関係を築くことができる

ラポールを形成することで
初対面の相手でも
人間関係の基盤を築くことができます。

治療を円滑に進めることができたり
あなたに好感を持ってくれるようになり
指導内容をすんなりと受け入れてくれます。

そんな良好な人間関係をつくるには

  • 患者さんと歯科医師
  • 患者さんと衛生士

の関係を築く必要があるのです。

発言の理解度や納得度の違い

ラポールが構築されている状態の
患者さんの理解度や信頼度は
確実に高く、増すばかりです。
それは
「あなたに絶大な信頼を置いている」
からです。

信頼がある、なしでは
患者さんの納得度にも大きな差がでてきます。

例えば、
自費の補綴を薦めるときに
「先生がこの材質の物が良いというなら
それが一番いいに決まっている。」
「先生がそう言うなら、そうします。」

というように
患者さんは歯科医師や衛生士を
一目置くべき存在として見るのです。

不安や警戒を払拭する

歯科医院のイメージが
「怖い、嫌だなあ」
と思っている方もまだ少なくありません。

また、患者さんは
不安を抱えながら来院することも
あると思います。

しかし、ラポールが形成されていると
患者さんは
マイナスな感情や考えを払拭してくれるのです。

また
「先生なら大丈夫。心配しないで任せられる。」
安心して治療に望むことができるため
患者さんも
不安な気持ちからくるストレスを受けなくて良い
ようになりますね。

ラポール形成をする前の考え方

ラポールがなぜ重要なのかは

  • 患者さんとの人間関係を構築するため
  • ラポールの形成の有無で
    発言の理解度や納得度の違いがでるため
  • 患者さんの不安や警戒を払拭できるため

の3つでしたね。

次はラポールを形成する前に
必要な考え方
について学んでいきましょう。

相手に興味を持つ

患者さんが
あなたの話しを聞いてくれるようになるには
あなたが患者さんに興味をもって傾聴すること
が大事です。

ただ、患者さんの話しを
「聴く」のではなく
「影響を受ける」
ことが
重要なポイントになります。

患者さんに影響を与えるためには
あなたが患者さんの影響を受けるということです。

それは患者さんの

  • 良い行動
  • 良い感情
  • 良い思考

などに影響されるということです。

そうすると、患者さんは
「自分に影響を受けた相手」
としてあなたに好感を抱くようになります。

そして、もう1つ必要な考え方が
相手との共通点を見つけることです。

人は共通点が多ければ多いほど
相手に親近感を抱きます。

例えば

  • 出身地
  • 誕生日
  • 好きなスポーツや音楽

などが同じだと
一気に距離感がグッと縮まり、
話が弾むこともありますよね。

また、珍しい共通点の方が
ラポールを強められるので
会話をしながら探してみて下さい。

ラポール形成するために必要な3つの基本スキル

では、本題の
ラポールを築くためのテクニックを
3つ紹介していきます。

こちらは

① ミラーリング
② マッチング
③ バックトラッキング

の順番に見ていきましょう。

① ミラーリング

ミラーリングとは患者さんと

  • 姿勢
  • 動作
  • 表情

を合わせていくことです。

例えば、
患者さんが腕を組んで考え始めたら、あなたも
さりげなく同じように腕を組んだり
真剣な表情をしたら、
同じく真剣な表情をします。

これは類似性の法則といって
自分と同じ動きや表情をしていると
親近感や一体感が生まれることを利用した手法です。

② マッチング

マッチングとは

  • 話すスピード
  • 声の大きさ

をあわせることです。

例えば、
患者さんの話すスピードより
あなたの話すスピードが早い
まま説明を続けると
患者さんは自分の理解を無視して
勝手に話を進められていると感じてしまいます。

また、
患者さん自身が話しをするペースを乱されたと
不快な気持ちになってしまうのです。

そのため、患者さんと話す時は

  • 話すスピード
  • 声の大きさ、
  • 声のトーン
  • 声の音色

を意識すると好感を与えることができます。

③ バックトラッキング

バックトラッキングとは
患者さんが言ったことを活用しながら
患者さんが言った言葉を繰り返して
話を進めること
です。

いわば、オウム返しのことですね。

例えば、患者さんが
「今日は時間がなくて
歯磨きがしっかりできなかった。」

と言ったことに対して

「今日は時間がなくて
歯磨きができなかったのですね。」

と返答します。

こんな風にオウム返しをするだけで
患者さんは
「私の話をきいてくれている。」
「私のことを理解してくれている。」
安心や信頼を感じることができます。

また、患者さんの話した
「事実」や「感情」を繰り返したり
話した内容を要約して確認することも
効果的
ですよ。

まとめ

いかがでしたか?
ラポールの形成についてポイントを
押えながら解説してきました。

最初はすぐに実践するには難しいので
患者さんには
院内で練習してから活用することを
オススメします。

患者さんやスタッフとの信頼関係を築くのは
容易なことではありません。

治療を円滑に進めるためや
メインテナンスを継続的に通ってもらうためにも
ラポールの形成を意識して
患者さんやスタッフと
コミュニケーションを取ってみて下さい。

気づいたときにはあなたと相手の間に
強固なラポールができているはずですよ。