SNSの口コミ評価は、
新規の病院選びで重要視されるポイントです。
そこで、自院の評価をあげるために、
既存の患者さんに対して口コミ投稿の依頼を
するのはOKなのでしょうか?
口コミの依頼は、場合によってはヤラセ・サクラ
として法律違反にもなりかねません。
注意点や法律のボーダーライン
について解説します。
近年問題視されるヤラセ・サクラ
飲食店選びや家電・化粧品の購入など、
口コミを参考に選ぶという人も多いでしょう。
近年では、病院選びも口コミを参考にする
人が増えており、医療関係に特化した
評価サイトも存在します。
そんな中で問題視されているのが、
「ヤラセ」や「サクラ」です。
・経営者や従業員が自ら、良い口コミを投稿して
自社の評価を上げる
・顧客ではない第三者に良い口コミ投稿を
依頼して対価を払う
・実際のサービス内容とは異なる口コミを投稿し、
読者に誤解を与える
これらの行為は、消費者・利用者が自主的かつ
合理的に商品・サービスを選ぶことができなくなる
恐れがある(ステルスマーケティング)として
「景品表示法違反」に当たり、消費者庁から
措置命令が科せられます。
患者さんに投稿を依頼するのはOK?
医院経営において、SNSの口コミに注目し行動を
起こすのは非常に有効なマーケティング手段です。
治療内容や医院の雰囲気に満足しているであろう
患者さんに口コミ投稿を依頼すれば、SNS上での
評価も上がり集患につながるでしょう。
しかし、口コミ投稿の依頼は一歩間違えると
ステルスマーケティングとみなされ法律違反に
なってしまう恐れがあります。
【気を付けるべきポイント】
・「良い口コミを書かないといけない」
という意識を持たせない
・自主的な意思による投稿を妨げない
口コミの投稿を依頼する際には、
上記の2点に気を付けましょう。
あくまでも患者さんが感じた内容を自由に投稿して
もらうのが口コミのあるべき姿で、そこに
「医院側にどう思われるか」や「低評価は
つけにくい…」と思わせてしまってはNGです。
セーフとなる依頼例
景品表示法上、問題のない依頼の仕方を
考えてみましょう。
・院内掲示にて、特定のサイトの口コミ評価を
募集している旨を知らせる
・会計時に、SNSへの口コミ投稿依頼についての
チラシを渡す
・自院のホームページに、口コミ投稿の
依頼フォームを載せる
「口コミ投稿をしてほしい」ということを
患者さんに伝えるのは、法律上問題ありません。
但し、口コミの投稿は本来「投稿したい」
と感じた人が自主的にするもので、事業者側から
促して書いてもらうものでもありません。
「集患のため」「評価をあげるため」に利用
されていると感じてしまう人もいるでしょう。
サービス品質向上のため、患者さんの本音を
聞いてより良い病院にしていきたい、という
気持ちで口コミ評価を依頼しているという体で、
執拗な依頼にならないよう気を付けてください。
アウトとなる依頼例
景品表示法上、問題となる恐れのある依頼の
仕方を考えてみましょう。
・「口コミ投稿で粗品をプレゼント」と題し、
投稿内容を受付スタッフに提示させる
→良い口コミを促していると捉えられる恐れあり
・「口コミ評価で★5を付けてください。」等、
直接的に良い評価の投稿を依頼する
→事業者が表示内容の決定に関与したとみなされる
・スタッフの個人的なアカウントにて、
良い口コミを投稿させる
→利用客を装った投稿に該当
・口コミ投稿を強要する、無理矢理書かせる
→自主的な意思による表示内容とは認められない
関係性があるとみなされる
「良い評価をしなければならない」
と患者さんに思わせてしまっているかどうかが、
OKとNGのボーダーラインです。
直接的に良い評価を強要していなくても、「今後も
この病院に通うから関係性を悪くしたくない…」や
「スタッフさんに画面を見せるなら、良い評価を
書かなくては…」と間接的にでも意思を
誘導してしまうのもNGです。
まとめ
口コミの投稿を依頼すること自体には、
問題はありません。
口コミやSNSを集客方法の一つとして
活用するのは、マーケティングの観点から
非常に有効な手段だと言えます。
赤裸々で手厳しい口コミが寄せられることも
ありますが、よりよい院内環境作りのための
貴重な意見だと受け止めるようにしてください。