患者さん
「予防治療にいらして下さい」と言っても
ピンと来ないのが普通です。

『歯石取り』
『歯のそうじ』
『クリーニング』
が一般的に知られている言い方であり、
「予防治療って何?」
と思う方がほとんどと思われます。

そもそも患者さんは『予防治療』の意味を
どこまでわかっているのでしょうか。

予防意識の低い患者さんにはどう対応する?

予防治療に対する意識は、
患者さんによってまちまちで、
意識が高い人もいれば、
そんなもの全く知らないという人まで
千差万別です。

一般的に予防治療は
保険外が多いかもしれませんが、
保険を適用することで、
患者さんに来院しやすい体制を整えている
歯科医院もあるでしょう。

しかし残念なことに、どのような体制を整えても
意識の低い患者さんは予防治療に全く無関心です。

患者さんは
治療以外のことに消極的な傾向にあるため、
予防治療という言葉を使っても
いまひとつピンとこない
のかもしれません。

歯周病の進行が懸念される人には、
歯石除去およびPMTCが欠かせません。
しかし患者さんは
歯石が付いていることでどんな影響を受けるのか、
わかっているのでしょうか。

残念ながら、定期検診に来ない患者さんは
その必要性をほとんど理解していません。

特に50代以降の年代は、
歯が痛くなってから歯医者に行くという
昔の風潮が根強く残っており、
歯石やプラークがついていても
全く気にしない人が非常に多くみられます。

口臭が強く、周囲から白い目で見られていても
「これは加齢臭だから仕方ない」
「これぞオヤジ臭」
などと言って笑い飛ばし、
深刻に捉える様子はみじんもない
患者さんもおられます。

このような患者さんは、まず治療にしか来ません。
治療を終えてとりあえず歯石除去を案内しても、
歯石除去のために来院する可能性は極めて低く、
次に来院するのはまた調子が悪くなったときです。

このように治療にしか来ない患者さん
危機感を持ってもらい、
予防治療の意味を理解してもらうためには、
かなり厳しいことを言わなければ
いけないでしょう。

ズバっと
「このままでは将来的に歯を全部失ってしまって、
総入れ歯になりますよ」
という必要があるかもしれません。

またプラークやバイオフィルムなどといった
横文字を使わないで、
「お口の中のばい菌がとても多く、
ばい菌の塊がたくさんある」
という言い方が必要になります。

このような言い方をすることで、
デンタルIQが低い患者さんでも
「歯石だけは取っておこうか」
と思ってもらえるかもしれません。

予防意識が低い患者さんに対しては、
とにかくわかりやすい言い方で危機感を与え、
「とにかくばい菌を取り除きましょう。
でもまたすぐに付いてしまうので、
3ヶ月後にまた来てくださいね。
その時にはお口の中のばい菌が
減っているといいですね」
と言ってみてはいかがでしょうか。

デンタルIQが高い患者さんにはより高く意識を持ってもらいましょう

逆に、歯の健康に対する意識が高い患者さんは、
予防治療に対して非常に積極的です。
このタイプの患者さんには、
どんどん意識を高めるような
説明や施術
を行いましょう。

また、フッ素やリナメル、
ナノアパタイトコーティングなどといった
オプションを勧めてみるのもいいでしょう。

予防治療に熱心な患者さんは、
歯の健康と審美性に対して貪欲です。
ただの歯石除去やクリーニングだけではなく、
患者さんのお口の状態に合ったものや、
より良い状態を高めるためのものを使用し、
患者さんの意識を高めるように導いてみましょう。

特に保険治療でクリーニングを行う場合、
「フッ素などの話をすると、
お金もかかるし押し付けがましいのでは・・・」
と考えてしまうことがあります。

しかし、
歯やお口の中の健康に対し熱心な方にとっては、
ありがたいことだと思います。

逆に、説明しないと、
「なんで教えてくれなかったの?」

と思われてしまいます。

物販においても、
例えばフッ素入りの歯磨き剤は
たくさん販売されていますが、
歯科医院で使われているものは
濃度が非常に高いことが特徴です。

このようなことを含めた、
予防に関する情報を説明することで、
患者さんのモチベーションが
さらに上がることが期待できます。

患者さんの意識を常に予防に向けるようにしましょう

このように、
予防意識は患者さんにより異なります。

どの患者さんも、
歯を失う可能性は必ず持ち合わせています。
意識の高い患者さんはモチベーションの維持
および向上性を考えた説明を行い、
意識が低い患者さんに対しては、
とにかく危機感を持ってもらうような言葉を選び、
来院を促すような説明を行ってみてくだ