突然ですが、受診される患者さんの中に
何度指導してもうまくブラッシングができない患者さん
定期的に歯磨きをしてくれない患者さん
などいらっしゃいませんか?
そんな患者さんに対して
「やる気がないのかなぁ・・・」と思っていませんか??
実は医科の世界でも特に慢性疾患の治療において同じようなことが
よく起こります。
例えば糖尿病患者さんは、ご存知の通り血糖値を適切な値に維持するために
生活習慣に気を配ったり薬を飲んだりしなければなりません。
しかし医師やコメディカルがいくら療養指導をしても
なかなか思い通りの生活を送ってくれないことが多々あります。
ではそのような患者さんに対して、どうしたらよいのでしょうか?
「あの患者さんはなかなかやってくれないからね~」
「病気だっていう意識が低いからしょうがないよね~」
などとあきらめてしまっていることが多いようです。
でも、もしかしてその患者さんは、口腔内の環境が悪くなることを
「自分ごと」と認識していないだけかも知れません・・・
そのような場合に、糖尿病の治療ではよく
「エンパワーメント」
という考え方を使います。
エンパワーメント・・・権限を与える、委任する
これを、歯科診療に置き換えてみると
「治療においては患者さんが主役であり、
最終的には患者さんご自身がセルフケアをしようと決めて実施できる」
という考え方ではないでしょうか。
エンパワーメントは簡単に説明すると以下の手順で進めていきます。
1)課題を特定する
→セルフケアを行う上で何が一番難しいと思いますか?
2)感情を明らかにする
→セルフケアをお家で行ってどのように感じますか?
(すっきりする、めんどくさいなど・・・)
3)行動目標を設定する
→どんなふうになりたいですか?
セルフケアをするとどんないいことがありそうですか?
4)計画を立てる
→どんなセルフケアならできそうですか?
5)プロセスを評価する
→計確通りにできましたか?
できたことについてどう感じましたか?
このとき、主役はあくまで患者さんです。
・患者さんの代わりに問題を解決する
・患者さんの行動を注意する
といった発言は控えるようにしましょう。
いかがでしたか?
患者さんとのコミュニケーション手法は様々あります。
その他にも、実際に患者さんと接して、診療や指導をされている皆さんは
さまざまなコミュニケーションのコツをお持ちだと思います!
興味のある方は一度、院内でロールプレイをしてみたり、
患者さんに指導しているときに同僚の方に同席してもらい
アドバイスをしてもらってもよいかもしれませんね。