ネットの記事やYouTubeなどで
口腔ケアに関する情報が山積する中、
舌苔のケアについては両極端な意見が目立ちます。

患者さんから尋ねられたとき、正しいケア方法に
ついて答えられるようにしておきましょう。

舌苔ケアの基本的な考え

舌苔ケアの基本は、汚れの蓄積具合に応じて
適切な方法で対応することです。

唾液の分泌量、嗜好品、ストレスなど、
口腔内は個人の心身状態やライフスタイルの
影響を大きく受けます。

そのため、一概に
「1日1回」や、「やらなくて良い」
という指導は好ましくありません。

頻度:気になったタイミング。
方法:専用のケア用品で優しく、
   奥から手前に撫でるように。
   歯磨きの際に、念入りに水で口を
   ゆすぐことで汚れの蓄積が抑えられる。

近年では、口臭ケアのためにマウスウォッシュを
使うという方も増えてきています。

ドライマウスを予防するという意味合いからも、
長期間の使用を想定した場合には
ノンアルコールの洗口液を推奨しましょう。

患者さんへの伝え方

「舌苔」という言葉は、
一般の方へはあまり認知されていません。

そのため、「舌の汚れ=舌苔」という部分から
説明を始めるのがおすすめです。

症例写真を見せながら、健康な状態の舌と
舌苔の蓄積した状態を患者さんに
確認してもらうと伝わりやすいでしょう。

舌苔ケアについて話す際、
必ず伝えるべきポイントは以下の3つです。

・舌苔が溜まることは、
 異常なことではなく誰にでも起こること

・舌は非常にデリケートで、
 不適切なケアにより味覚障害や、
 さらに舌苔が溜まるといったトラブルが起こる

・舌苔のケアは、
 口臭予防だけでなく歯の健康にもつながる

多くの人に関係のある話で、
「恥ずかしいことではない」という前置きをした
上で、適切なケアをするべき理由を伝えましょう。

実際に、不適切な舌磨きが原因で口腔トラブルを
起こすケースは増加傾向にあります。

舌を綺麗に保つことは、口臭予防だけでなく
歯周病や歯肉炎・口内炎の予防などさまざまな
メリットがあることも意外と知られていません。

ブログやYouTubeとは違い、
診療という場面で患者さんに伝える以上、
ケア方法やメリットだけでなくリスク面についても
正しく説明することが求められます。

伝え方を工夫しよう

舌苔のケアについての案内は、人によっては
「私の口臭が酷いってことなの?」
「舌が汚いからこんな話をされたのかな・・・」
とネガティブにとらえられてしまうことも。

舌苔が多く蓄積している方に案内することも
ありますが、そうではない方の場合には、
“あなただけでなく皆に話しています”
と伝えてあげると良いでしょう。

「最近、研修を受けてきまして。皆さんにお伝え
しているのですが、舌苔ケアってご存知ですか?」
「最近他の患者さんから質問があったので、
私も勉強しなおしたのですが~~」

このように、有益な情報があるため患者さんにも
伝えてあげたい、というニュアンスが伝わるよう、
工夫して話し始めるのがポイントです。

口臭というデリケートな問題に関わる話のため、
相手に不快感を与えないように
気を配った切り出し方が求められます。

また、医師からの案内に加えて、
手作りのリーフレットを渡すのも効果的です。

「今日、先生が話していた内容をまとめた紙です。
皆さまにお配りしていますので、
お時間ある時に読んでみてください。」
と精算時にお渡ししてみてはいかがでしょうか。

まとめ

舌苔ケアの効果は、口臭予防だけではありません。

口腔内を衛生的に保つことは、歯周病や歯肉炎の
予防になり、歯を健康に守ることにつながります。

患者さんにとって有益な情報を提供することは、
「良い医院だ」とも思ってもらえるポイントです。

治療後や健診の際には、
積極的にタメになる情報を伝えていきましょう。