あなたは困ったとき、まずは何で調べますか?
困ったら、スマホを片手にインターネット検索・・・
といった光景がよく見られるのではないでしょうか。
では頼りすぎることの弊害には、どんなことがあるのでしょうか?

パソコンやスマートフォンが普及している現代社会では、
インターネットを使用すれば必要な情報が簡単に
手に入れられるようになってきました。
歯科医院の宣伝もHPやSNSでできるようになり便利ですよね。

その反面、こんなお悩みを持っている方はいませんか?

  • 患者さんがインターネットで調べた最新の治療法を希望しているが、その治療法は患者さんに適していない/歯科医院では取り扱っていない
  • 自分が感じている症状をインターネットで調べて、重篤な病気であることを必要以上に恐れている
  • こちらの診断が自分で調べたものと違っていて、説明をなかなか受け入れてくれない
  • いくら丁寧に説明しても、「インターネットにはこう書いていた」と言い返される

などなど…

医療知識でさえインターネットで
簡単に入手できてしまう環境下では、
自分で調べたインターネットの情報を元に
質問をする患者も増えていると思います。
その情報が必ずしも患者本人の口腔内の状態に
当てはまっているとは言えないケースも多いと思います。

自分の口腔内が気になってしまう患者の心理は当然のこと・・・

だからこそ丁寧に対応したいところですが、
あまりに度を過ぎてしまうと
歯科医院側が困惑してしまうこともあるでしょう。
それが元でトラブルになってしまうこともあるかもしれません。

このような状況は時代の流れ上しかたないこととして、
私達にも何か対策が求められているのかもしれません。

対応すべきは情報の訂正よりも信頼関係の構築

問題は、患者が目の前にいる歯科医師の言葉よりも、
インターネットで仕入れた情報を信用してしまっていることです。

なぜこのような状況になってしまうのでしょうか?

これはつまり、歯科医師への信頼よりも、
自分が手に入れた情報への信頼が勝っている状態だということです。
ですからまずは、患者との信頼関係を作ることが先決です。

患者が誤ったインターネットの情報を口にすると、
ついこちらもそれに応じて患者の知識を訂正・説得しようとしてしまいがちです。
しかしそれだけではなかなか患者は納得してくれないでしょう。

最悪の場合、患者と歯科医師の言い合いのようになってしまうことも考えられます。

まずは理屈で論破するよりも、
なぜ患者がその情報に頼ってしまっているのか、
その背景や気持ちに寄り添うことに気をつけてみてください。

こちらが言いたいことを一旦おさえて、
患者が言いたいことを全て話してもらうのです。
自分の心の中にあることを全て言い切ってしまえば、
それだけで患者の気持ちが落ち着くこともよくあります。

話を聞いていくうちに、
問題が話題にのぼっている内容そのものではなく、
患者の内面やプライベートな事情などに
隠されていることが分かることもあります。

これではいくら議論し合っても解決しないのは当然です。
時間の許す限り患者の話に耳を傾け、話を聞くことに集中してみましょう。
問題解決の糸口が見えてきたり、結果として患者の信頼感が増して
こちらの話を聞きいれてくれるようになったりします。

適度に流す対応が必要な場合も

逆に、患者のもともとの性格が神経質であったり、
几帳面で細かい気質である場合には、
話を聞きすぎると深みにはまってしまうこともあります。

これでは話す方も話を聞く方も疲れただけで
終わってしまった…ということになりかねません。
ある程度のところまで話を聞いても患者が落ち着きそうにない場合には、
「この患者さんはこういう性格だ」と区切りをつけた対応が
必要になることもあります。

患者の言うことを「そうですねぇ」と否定することなく
共感しながらもさらりとかわして、
こちらの意見も同じようなトーンでさらりと伝えるのです。
患者と同じ深刻なトーンになってしまっては話が進まなくなります。

今すぐ完全にこちらの意見に納得してもらおうとするのは
難しいかも知れません。
まずは治療を進めながら少しずつこちらの考えを分かってもらえるように、
長い目でみた対応をするように切り替えるのです。

インターネット情報には不確実なものもある、と患者教育を

インターネットなどの情報にはもちろん正しいものもあります。

一方でエビデンスが確かでないもの、
歯科医師や歯科衛生士ではなく限られた知識しかないライターが書いたもの、
情報源が不明確なものもあふれています。

そういった情報から患者を守ったり、
インターネットの情報には信用性が低いものもあると教育することも、
現在歯科医院に求められている役割かもしれません。

日ごろから患者との人間関係が築けていれば、
正しいとはいえないインターネットからの知識を訂正した時にも
すんなりと受け入れてもらえるはずです。

日ごろからしっかりとコミュニケーションをとっていきたいですね。